C/L:つゆちゃん

カウンセリングでお伺いしたのは、つゆちゃん(Mix推定2歳♀)です。課題は、他の犬への吠えや第三者に対する吠えなどの改善です。飼い主さんは、犬を飼うのが初めてという事もあり「保護犬」というイメージから、どのように対応すべきか?と悩まれいてのレッスンとなりました。

宮古島からやってきたつゆちゃんは、レスキューの段階の情報では出産経験もあり、仔犬と共に宮古島から移動し、それぞれ里親さんの元で生活をしているようです。過去の経緯は、あくまでも想像でしかありませんので、あまり感情移入せずに、現状を冷静に判断して、これからの犬生やつゆちゃんと共に過ごす時間を有意義で楽しい時間として共有できるようにしていく必要があります。
その為にも、飼い主さんとしてニンゲン側の出来る事を1つ1つ理解して、つゆちゃんから信頼される飼い主さんを目指していきましょう。
つゆちゃんを家族に迎えて、まだ2か月余り。つゆちゃんを迎える前から、他の犬への吠えなどの課題を承知で迎え入れていますが、現在の対応は、他の犬を避けて散歩をするという事だけで、譲渡の際にも、そのようにアドバイスを受け、アドバイス通りに生活をしていますが、逃げる生活をいつまで続けるのか?一生逃げ続けるのか?という疑問から今回のカウンセリングレッスンとなっています。
逃避することは簡単ですが、今後の犬生には様々な場面に犬や人が関わります。いつまでも逃げるだけでは対応しきれませんし、最近は吠える行動を止める飼い主さんに転嫁行動として攻撃性も出ているようですので、根本的な接し方や対応の仕方をニンゲン側が身に着け、的確につゆちゃんにフィードバックする必要があります。

また課題の改善を優先しなければいけないケースの場合の飼い主さんに良く見られる傾向として、課題の行動を阻止するだけに終始し、少しでも正しい行動や望ましい反応や行動を犬が示した瞬間を誉めることができないという事です。ニンゲンとは都合の良い動物で、自分は「誉めて伸びるタイプです」と誉めてもらう事を要求するのに、犬のトレーニングでは、全くといって良いほど誉めることができません。単に誉めるタイミングや誉め方というよりも、何故か羞恥心が誉めることを邪魔しているようです。
これは特に日本人特有の、表現力の乏しさにありますが、欧米の方との表現力の違いがトレーニングの質の違いにまで影響を及ぼしているように感じます。つゆちゃんの飼い主さんも、犬を飼うのが初めてですので、この点については致し方ありませんが、つゆちゃんにちゃんと伝わるように誉めれる飼い主さんになることが、世にいう「誉めるトレーニングの原点です」トレーニングで「お座り」を体罰で教えるトレーナーは居るはずがないのに、当たり前の「誉める」という表現をあえて使う「誉めるトレーニング」というのも如何なものかと思いますが、誉めることができない飼い主さんは教育としての「叱り」も的確にできませんので、まずは誉める機会を増やし、関係性のベースを構築しましょう。
誉めるベースを作る上で、今後強化してもらいたい事は、アテンションコマンドとアイコンタクトです。ご家族全員の声にすぐに反応できるようにトレーニングをしてください。また「おいで」の呼び戻しの基礎トレーニングも室内で行い、必ず飼い主さんの直近まで来るようなポジションを教えて下さい。

アイコンタクトは、飼い主さんがしゃがんで視線を合わせるのではなく、飼い主さんが立った状態の視線につゆちゃんが見上げる状態をベースにしてください。(トレーニングの状況によっては例外もあります。)


今日のレッスン内でも、他の犬に吠える場面が見られましたが、禁止コマンドを理解したつゆちゃんは、すぐに吠えずに我慢をすることができていました。この我慢した行動を飼い主さんはシッカリと誉めて伸ばす必要があります。単純に何かのコマンドやトリックを教えることは、それほど難しいことではありませんが、パピー期の社会化不足(人間社会と犬社会)や成長期のメンタル的なトラウマ経験などによる習慣化された課題の改善には、通常の5倍程度の観察力や冷静で丁寧な対応が求められます。安易な対応ではなく、つゆちゃんの立場に立った対応ができるように観察力を高めましょう。


特に♀犬に対しては、敵対心が剝き出しのようです。臭いに対しての反応の方が先行しますが、背中の毛が立ち呼吸が早くなり興奮状態になります。興奮状態で吠えると、自分の吠えで更に吠えが助長されますので、吠える前に対応できるようにしましょう。

今日のレッスン内では、任意の場所にとどまり、相手の犬に対しての反応を見極めて対応しましたが、今後は相手の犬を無視してすれ違う事や、相手の犬を追い抜く事など、相手の犬との距離を考えながらステップアップしていきましょう。

また飼い主さん以外のニンゲンに対しての警戒心を軽減させる為には、犬に対しての適切な対応ができる人からトリーツを貰うトレーニングをしてください。このトレーニングでは、まずは女性からスタートさせましょう。何故ならば、一般的に犬は男性に対しての警戒心が強いからです。女性であって警戒する場合もありますので、その場合は、相手にしゃがんでもらい目を合わせないようにしてトリーツを貰えるようにトレーニングをしてみて下さい。今後の飼い主さんの頑張りに期待します。


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