初レッスンのトラ君(甲斐犬1歳8ヶ月♂)は、静岡から一時預かりさんの下で過ごしている保護権です。今回は、保護されるまでの経緯を伺うと、かなりの人間不信や充分ではない飼育環境の中で過ごしてきた結果が現在のトラ君の課題につながっていることは明らかなようです。
最初のコンタクトは、やはり見知らぬ第三者への警戒からゲージの中で唸ってお出迎えでしたが、ゲージから出し一定の自由な時間と空間を与えながら自らの判断に任せると自然に距離も縮まり初めて合う第三者から初めて食べるトリーツを食べることが出来ていました。トラ君の1ヶ月ほど前の性格は、このような警戒心が強く怖がりな性格ではなく人にも犬にもフレンドリーな性格だったようですが、一時預かりの環境を転々とする間に、かなり衝撃的な経験をしたことで恐怖心や不信感が強くなったようです。メンタルの改善には、とても時間がかかりますし繊細な見極めも必要になります。しかし、元々持っている明るい性質の面を再度引出してあげることが出来れば、本当に愛情を注いでくれる新しい里親さんが見つかると思いますので苦手な環境刺激の克服と人間への信頼感を取り戻せるようにトレーニングを進めていきましょう。
屋外では、怖い対象の刺激が多すぎる為に、あまりお散歩も時間を長く出来ないというお話でしたが、行動範囲を広げてあげて一定の自由意志を尊重する事でアテンションへの反応や視線の方向に変化が表れてきました。また、何よりも身体能力の高い甲斐犬は、充分な運動量も必要ですのでストレスを発散させることも必要です。また、ノーズワークなども現在のトラ君のような自信のないタイプには、大きなメンタルの変化をもたらせてくれるトレーニングですのでタイミングを見て取り入れていきましょう。現在の課題である、すれ違う人・自転車・乳母車・宅急便の代車など、改善ポイントはいくつかありますが、無理をせずに進めながらも逃避するのではなく克服できるようにしていくことが大切です。
この記事へのコメントはありません。