1年3ヵ月ぶりのレッスンとなったぼたんちゃん。いつも公園で仲間と楽しく遊んでいる姿は微笑ましいのですが、以前から課題となっている「呼び戻し」と「待て」などのコマンドをリトレーニングしたいという飼い主さんのご意向からのトレーニングとなりました。
濡れている地面や特に濡れた芝生が苦手なぼたんちゃんですので、今朝はいつもよりテンションが低く意欲もありませんでしたが、いつも遊んでいる犬やオヤツを貰える飼い主さんが近づくと同じような反応を見せます。
出来れば、あの輪に入りたい気持ちでいっぱいでしたが、今日は現状を確認しながら今後どのように改善すべきか?の確認をさせて頂きました。日常の飼い主さんの考え方やぼたんちゃんに対しての働きかけ・声がけのタイミングが本当に課題に影響を与えていないのか?などの確認が最優先事項です。いつも会う他の犬と飼い主さんに対して近づいた際の呼び戻しの実践を行いましたが、反応してくれるまでには時間もかかり。反応しない際には、しゃがんで呼んでも構いませんので必ず呼び戻すことを徹底してください。しゃがんで呼んで、ぼたんちゃんが直近に来た際に立ち上がると自然にお座りの姿勢に移行します。誉めるタイミングは、戻ってから誉めるのではなく相手の犬へに意識から飼い主さんへ意識が移行した瞬間を誉めますが、このタイミングは何度も経験しないと観察できませんので日頃の機会を活用してみて下さい。
朝の公園は、いくつかのコミュニティーが成立しています。そのコミュニティーは、あくまでもニンゲン的な感覚であり犬側から見ると1つの「群れ」という表現でも良いかもしれません。このコミュニティーの中のルールは、どちらかというと犬主導であり飼い主さんは、飼い主さんという立場よりも「保護者」もしくは「家政婦さん」または他の犬から見ると「オヤツを沢山くれる人」という視線になります。この無条件で犬が自らの判断で色々な事が出来る状況を与えて「呼び戻し」や「待て」の精度を上げるには、トレーニングをしている犬でも、かなり高度なレベルです。何よりも誘惑刺激が高い状況下で飼い主さんからの、いや「家政婦さん」からのコマンドを優先するというのは非常に困難と言えるでしょう。
誘惑刺激が低く安定した環境下で現在理解しているコマンドを、どの程度の精度で実行できるのか?を確認する必要がありますが、「お座り」と「伏せ」に関しても、トリーツを与えてしまうと自主解除をしてしまい「解除のコマンド」まで姿勢を維持することを飼い主さんが理解していませんのでぼたんちゃんの判断でコマンドを無視したり解除したりしてしまいます。この改善の方法は、1年前にもお話はしていますが、ついついオリジナルの対応になるために、本来のトレーニングの強化の方法とは違う方法で行われ、単にトリーツを与えて飼い主さんが満足をしてしまっています。
例えば「呼び戻し」について、「来い」で呼んだ際に1度のコマンドで飼い主さんからのコマンドに反応し素早く戻り、飼い主さんの正面や脚側のポジションで座れた。という行動に対して誉めてトリーツを与えるのであれば本来の報酬である誉め言葉とトリーツの意味があります。しかし、コマンドが出て何度呼んでも無視を繰り返し、他の犬や他の飼い主さんにトリーツを要求しながら遠回りして戻ってきても「戻ってきた」という結果に対してトリーツを与えてしまう現状があります。この2つの違いは歴然ですが、求めるべき理想形を飼い主さんが理解した上で、どのように対応すれば理想形に近づけるのか?を考える必要があります。ぼたんちゃんの理解というよりも、飼い主さんがぼたんちゃんを、どのように育てるのか?という気持ちの問題です。
アテンションとアイコンタクトの基礎も、いつしかハンドコンタクトが強くなり手の動きを追いかけるようになっています。ぼたんちゃんの予測通り動くと期待感が低下しますし集中力も維持できません。ぼたんちゃんの反応や理解を予測して、ニンゲン側が予測を外すことで、ぼたんちゃんの気持ちは必ず変化しますので対応を工夫していきましょう。
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