カウンセリングでお伺いしたのは、金太郎君(甲斐犬2歳♂)&蘭ちゃん(甲斐犬3歳8ヵ月♀)&菊ちゃん(甲斐犬5歳8ヵ月♀)です。それぞれの現在の課題に対しての対応と今後のアプローチの仕方についてレクチャーと実践トレーニングを行いました。
直近の課題は、金太郎君の他の犬に対してのアグレッシブ行動についての改善ですが、現在に至るまでの経緯や課題となる行動が見られる条件を飼い主さんが把握した上で対処する必要があります。未去勢で♂犬としての成長は順調ですので、他の♂犬に対しての威嚇や排除行動は至極当然な反応ですが、本能のままに放置すれば事故にもつながりますので、飼い主さんが金太郎君をシッカリと掌握できるようにしていきましょう。
お散歩の状態も、現在は金太郎君なりの動きに対して飼い主さんが着いて行くようなスタイルですので、飼い主さんがリーダーシップを発揮してお散歩のルール作りをしていきましょう。臭い嗅ぎとマーキングが♂犬の仕事とはいえ、それが無条件に行えるようなお散歩を繰り返すと、お散歩中に飼い主さんの存在自体が希薄になりますので、飼い主さんとしての存在感を金太郎君に感じさせることが出来るようにしていきましょう。
金太郎君の母犬に当たる蘭ちゃんは、♀犬らいしく空気を読むことも上手ですし、要求行動もお手の物のようです。過去に、他の犬から攻撃された経験から、金太郎君とは違う意味で他の犬に対しての威嚇があるようですが、パーソナルスペースを確認した上で事前にコントロールができるようにしていく事を考えて下さい。
また3頭の群れの中でもリーダー的な存在ですので、飼い主さんとしての威厳を持った対応が必要です。脱走癖や破壊行動も見られますが学習能力の高い面もありますので、出来るが限りの環境整備と飼い主さんとの関係性を築くための基本的なコマンドのトレーニングを取り入れていきましょう。
菊ちゃんは先住犬ですが、2頭のような強さはないものの、飼い主さんに嬉々として従うわけでもありませんので、スムーズにコントロールができるように基礎トレーニングを含めて進めていきましょう。
「動かない」という強い抵抗感も見られますし、それが今までは通用していましたので飼い主さんの声掛けやコマンドに対してのスムーズな反応を引き出していきましょう。金太郎君と蘭ちゃん親子に押されてしまっている面は否めませんが、静かな自己主張は強いようです。
3頭共に共通して取り組む必要があるトレーニングは、まずはアテンションコマンドです。飼い主さんも、名前は理解していると思われていたようですが、お散歩などの屋外での刺激の中では名前に対しての反応が見られませんので、確実に反応できるようにテリトリーであるご自宅の中から進め、お庭や自宅前の道路・現在使用しているグラウンドなど少しずつ刺激の加わった状況下でもアテンションに反応できるようにトレーニングをしてください。トレーニングの方法は、今日のレッスンで行いましたがトリーツを使用する場合の注意点を理解した上で進めましょう。金太郎君は、刺激には特に弱いですし、未去勢の♂犬ならではの、トリーツへの反応の弱さなどもあり、モチベーターとしてのレベルを高めたトリーツの準備も必要だと思います。
このアテンションコマンドと同時にアイコンタクトを教えていく事で、お座りの姿勢も関連づきますので、アテンションコマンドを出すだけ、飼い主さんへ視線を向けてお座りした姿勢が維持できるようになります。このトレーニングも、シッカリと教える側の飼い主さんに知識や技術が身に着くことが求められますので、トレーニングする方法を習得できるようにしていきましょう。
また基本コマンドとして「お座り」「伏せ」「待て」「来い」「ついて」の5つのコマンドのマスターを目標にしていきましょう。その為にも、全ての基礎となるアテンションコマンドの実行性を高めて、どこでも名前を呼べば、飼い主さんに視線を向ける事が出来る3頭を目指したいと思います。
今後のトレーニングでは今まで経験をしたことにないことが多く出てきます。一度に多くの条件をクリアする事は出来ませんので、1つ1つ丁寧に焦らずに取り組むことをおススメします。
この記事へのコメントはありません。