C/L:つぶらちゃん

カウンセリングでお伺いしたのは、つぶらちゃん(甲斐犬7カ月♀)です。課題は、興奮時の噛み癖です。特にお散歩時の飼い主さんの足やリードに対しては、かなり頻繁に攻撃的な行動に出ています。今日のレッスンでのお散歩のスタートから課題となる行動も見られ、飼い主さんの指示には従うそぶりがなく、余計に興奮状態となり行動がエスカレートします。このような課題に対して、ご褒美などで行動を変えようと試みても、逆効果になり余計に課題の行動を強化してしまう事が考えられます。また、このような状況を作らないなどという説得力のないアドバイスも飼い主さんには具体的な方法が理解できないままになりますので、この課題となる行動の要因を探り、現状の改善点と将来に向けての予測と、その対処方法を考えていく必要があります。

飼い主さんも犬を飼うのが初めてで、つぶらちゃんを育てる過程で、しつけの本やYoutubeなどの動画でお勉強はされたようですが、理論的な知識だけでは実践的な対応は身に付きません。また、つぶらちゃんという個体の特性・性質・今までの習慣や学習を前提とした分かり易い対応ができるようにテクニカルな面の習得も必要です。

現在の飼育環境の改善点も多々ります。良かれと思い行っていることも、現在の課題の要因にもつながっていますし、このまま放置すると将来的には更に課題として表面化してしまう事にもつながる生活習慣もありますので改善していきましょう。

つぶらちゃん自身も、気持ちの強い点はありますが今までの生活の中で、更に気持ちを強めてしまい、噛むことでニンゲンを上手に操っていた面が多いようです。冷静な時には一定の集中力も見られますが、集中が切れると、すぐに口が出始めます。

嚙み始めると、抑制される力に対して更に強くなり表情も強くなりますし、現在の飼い主さんの対応は、火に油を注ぐかのような対応ですので、中途半端に嫌悪刺激を加えて興奮度を上げないようにしてください。但し、この行動を止めさせようとしてご褒美を出す行為は、更にNGです。

お散歩の状況は自分の進みたい方向に飼い主さんを引っ張ることが日常のようですし、飼い主さんも、その行動を許していますのでコントロールができません。

しかし、飼い主さんがイニシアティブを握れるお散歩ができると、飼い主さんを意識して歩くことも可能です。今日のレッスンでは、まだまだ自我が優先されていますが、飼い主さんの対応が一貫することで必ず変化が表れます。

また、理解しているはずの「お座り」のコマンドも、自分の気持ちが優先されないと従わない傾向が見られます。時間がかかっても、コマンドを出したら必ず実行させましょう。

頑として動かなかった1回目のコマンドよりも、お散歩をしながら何度も一貫してコマンドを出し、出来たら誉めるを繰り返すことで、コマンドへの反応が変わります。力でねじ伏せるのではなく、必ず誉めることで従う心が育まれます。特に「つぶ」というアテンションに対しての反応は非常に希薄ですので、今日のレッスンで行ったようにアテンションコマンドの強化をしてください。

お散歩のスタート時よりも、表情も優しくなりアイコンタクトが強くなりました。そして何よりもシッポをブンブン振って自発的に座れている事が成長の1歩です。

理解力の高い仔ですので、飼い主さんもつぶらちゃんと一緒に成長し、楽しく素晴らしい犬生を過ごせるようにしてあげて下さい。


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